「たまたま、とりあえずのご縁が・・・」
ライフシフト65
代表 保元温さん(1952年生まれ)にお聞きしました
1.きっかけは?
65歳に定年を迎えたのち、ある日、東灘区役所に行く用事の帰りに向かいにあったCS神戸に「なんだろう?」と思い、ふと立ち寄ってみたのがきっかけでした。
たまたまそこでCS神戸主催のセミナー「社会貢献塾(10回シリーズ)」を紹介され、参加し、そこで、社会貢献活動をするとすればどのようなことをするのかを考え、ビジョンを作ってみたのがはじまりです。
2.なぜ、団体の立ち上げをしようと思ったのでしょうか?
もともと商社の産業機械の営業からスタートし、数度の転職を経験しながら遊園地のウォータースライダーやスーパー銭湯などを主に手掛けていました。
しかし、組織人としてリストラをする側にもされる側にも立った経験から、会社一辺倒の生き方やそのような競争社会の在り方にも少し疑問を感じていました。
おりしも当時、話題になっていた「嫌われる勇気」(岸見一郎と古賀史健の共著による、アルフレッド・アドラーの「アドラー心理学」を解説した書籍)を読んで、「共同体感覚」というキー概念にビビっときていました。
簡単に言うと、我々は他者に囲まれて生きていますが、他者を仲間だと見なすことができれば、そこに「自分の居場所がある」と感じることができ、「自己の利益」だけを追い求めるのではなく共同体にも貢献したいと思うようになる。これを共同体感覚と言います。
競争社会で会社人間であった男性が定年後の生き方を考え直すチャンスを作りたい、居場所を作りたいという思いから、前述した社会貢献塾で作ったビジョンをもとに、「定年の人むけのセミナー」をはじめようと思いたち、団体「ライフシフト65」を設立しました。
3.立ちあげ後はどのようなことを工夫されましたか?
「ライフシフト65」では、定年後の大人の居場所づくりを目的として、多彩な講師を招き「大人塾セミナー」を開催していきました。回を重ねるうち、50人クラスのセミナーが満員になるようになり、スポンサーもつくようになりました。仲間も増え、神戸大学やCS神戸などとのコラボ事業もでき、収益も上がり有償スタッフもできました。
そのような中、2020年3月にはNPO法人化しようと計画しましたが、新型コロナの影響で事業収益見込みも厳しくなり一旦中止にしました。
しかしこれもむしろよかったと思っています。
企画を練って集客事業を続ければ、テーマに興味のある人は大勢来るが、本来の大人塾のミッションに共感してくれる人ではない。拡大路線をとれば、結局は大手のカルチャーセンターと同じになってしまい、集客が目的になり活動が本来の目的から逸脱してしまう。
そこで、一旦立ち止まり、もう一度原点に返って、ミッションに共感してくれるような事業を組み立てなおそうと思われたそうです。参加人数を増やすことよりも、内容に愛着を感じてくれる人を増やしたい。
その一つの答えが、「地域共生拠点・あすパーク」で毎月開催するようになった「哲学カフェ」や「アドラー読書会」でした。暮らし、生活に根差したものの見方、考え方を仲間で話し合う場、居場所を目指しています。
4.目指す将来展望は?
将来展望としては、競争社会では実現できない、協働できる地域社会、地についたシニアの居場所づくりを目指したいです。
シニアの働き方に関しては、従来の仕事の枠を超えて、仕事の意味付け、定義をかえていくことが重要ではないかと考えています。先ほどの共同体感覚がプラスアルファされたものが必要になってくるのではないかと思っています。
現在は、鳥取県智頭町と協働し、森林セラピーを中心に置いたあすパークでの交流チームができ、過疎地の再生、テレワーク、ワーケーションなどを通じで新しい地域交流の在り方を探っています。
(編集後記)
シニアのちからを活かしたいと力強く語っていただいた保元さん。
今の保元さんが元気なのは、ひょいと立ち寄ったCS神戸、とりあえず参加した「社会貢献塾」のご縁だそうです。CS神戸として、このようなご縁が広がっていくことを願っています。